一人で抱え込んで潰れてしまった研究職のクライアントさんの事例(男性)
N.Nさん(仮名 40代 男性 家電メーカー研究開発職)
「 人は敵じゃないと思うようになりました^^; 」
「 前だったら、『そんなのできない』
と初めから拒絶していましたが、
今は、他の人に一から聞きながらやるのもありかな…
と思うようになりました。 」
N.Nさんは3回目の休職をするに至り、体調・体力を回復し復職するだけでは解決になっていないと考え奥様といっしょにカウンセリングにいらっしゃいました。
「 10年前に初めて1ヶ月休職し、5年前に半年間 2回目の休職をしました。今回で3回目の休職をになります・・・ 」
「 復職できないんじゃないか…
復職してもまた再発し同じことが起こるんじゃないかと思い不安で・・・ 」
N.Nさんのお悩み・症状をお聞きすると、
・気力(意欲)の低下
・ついつい先のことまで考え、不安になる
・家でも仕事のことを考えてしまう
・心療内科に10年通院しているが薬がやめられない
などなど、いろいろありました。
奥様によると、
「 本人があまりしゃべらないのでどうしたらいいか困っています・・・
大岳さんのブログを読んで主人に少し似ているのではないかと思いました。
カウンセラーさん自身が、うつ病を体験しているので主人の気持ちを分かってくれるのではないかと思いお電話してみました。 」
休職時 一日の様子 心の状態は?
休職してからの日常の様子をお聞きすると、
「 午前中は横になっています。 半分寝ているというか…
布団の中で寝られないけど、横になっています
午後は少し家事をしたり、コタツでゴロ寝をしたり…
夜はご飯を食べて風呂に入って、多少 子どもの相手をしたり
やる気が起きません
ダルい しんどいです。
不安 憂うつになります・・・ 」
『 どんなときに不安になったり憂うつになりますか? 』
「 一人で電車に乗っているときだったり
夜中居間にいるときだったり
風呂に入っているときだったり・・・ 」
鬱の根本原因は何か?
N.Nさんとカウンセリングをすすめる中で、3回休職を繰り返している鬱に根本原因が浮き彫りになってきました。
「 弱いところは見せたくない 」
「 叱られないように 叱られないように動いてきました
叱られることを極力避けたいと… 」
『 叱られることの何が嫌でそこまで避けてきたのでしょう? 』
「 自分がダメだという評価をされている気がして
いろいろできていない
自分はダメだ と思いが強くなり
できていない自分をもの凄く責めてしまいます 」
「 だから、
できるふりをしてしまいます
知らないことを悟られたくないし
自分の弱さを見せたくない
結果 人に協力をもとめれない 」
『 なるほど、確かにNさん 笑顔が少ないというか
基本 無表情なので話かけにくい でしょうね…(^^;。。』
「 人と進捗を打ち合わせるのが煩わしくて
人と話すのがイヤで、話をするのが得意じゃないんです。。
他人に仕事をまかせたくないし
自分の指示が正しいのかどうか自信がないので
指示するのが辛いです。
あと自分でコントロールできなくなっちゃうのが不安で、
他の人に相談せず、周りと壁をつくってしまい孤立しています。
結局 全部自分で抱え込んで成果を出そうとして
どんなに自分で頑張ってもできない... 」
『 前回の休職のときはその問題はどう対処されたんですか? 』
「 上司がまわりに【配慮してあげて】と声をかけてくれました。
【抱え込まずに分担しなさい】ともアドバイスをもらいました。
ただ、休職するにあたり上司から
【 まわりに聞くと、声をかけ辛い
サポートしようと思っても受けつけない感じがある 】
と言われました。 」
『 なるほど、ということは、
【 同僚とのコミュニケーション
まわりにサポートしてもらえるようになっていく 】
ことが復職がうまくできるようになる鍵になりそうですね。 』
人より優れていないと自分の価値がなくなってしまう・・・
【 自分の弱さを出せない、出さない 】
カウンセリングのセッションで、
Nさんの心の構えがどうしてそうなっているのか
深層心理 – 潜在意識にある思いを探っていきました。
『 そのような心の状態はいつ頃からそうなっていた感じですか? 』
「 物心ついたときからそうだったと思います...
振り返ってみると小学校上がったときにはもうなっていました。
知ったかぶりが過剰というか
先生に当てられて答えを間違えるのを怖れている。。。 」
『 小学校の頃にはもうそうだったのですね
小学校だと、 分かってないのに~ ハイ! ハイ!
とかいって手を上げて目立とうとする子もいますよね^^; 』
「 あ~ いますね! そういう子 」
『 Nさんとそういう子の違いな何でしょうね? 』
「自分が人より優っていたい‥
優っていないと自分でなくなっちゃう
自分という価値がなくなっちゃう
優れているところがない人は一番下になってしまう
【 人から下に見られる存在 】はみじめでクズな人間 ・・・ 」
Nさんにいろんな角度から質問していくと、
心の底にあるNさんを動かしている深い思い ~ 潜在意識下のビリーフが浮き彫りになってきました
できない自分
弱い自分
見せないように 隠している自分
取り繕っている自分が露呈してしまうのを怖れている
小学校2年生くらいから~
もうそのような心の構えで過ごしてきた ・・・
「 思えば、小学校のときから、
【敵をつくりたくない】とガードしていました。
イヤなことを言って、嫌われたら仲間外れにされる
良い子でいなきゃ
嫌われたくない
誰も友達になってもらえない
父は高等専門学校の教員
母は小・中学校の教員
両親とも学校の教員だったことも自分の性格に影響していたのかもしれません。 」
復職にあたって身に付ける必要のあること
お仕事に復職されてからもカウンセリングを継続されているNさんですが、様子を聞いていると大きな変化が伺えます。
「 復職にあたり、上司・人事・産業医との面談がありました。
妻も同席したのですが、体調や復職後の部署・職種のこと 今までと違いカウンセリングを受け自分の内面の問題点に取り組んできたことなど一通りお話した後で、人事の方から妻に、
『 奥さんから見て現在のご主人の様子をいかがですか? 』
と問いかけがありました。
そしたら、妻が
『 前よりよくしゃべるようになりました。 以前より自分から話をするようになったと思います。 』
と言っていてビックリしました!!
えっ!? 俺そんなに喋ってなかったっけ??
そうだったかな~ みたいな(^^; 」
「 人に話せるようになりました」
「 以前は他の人の協力をもとめずに一人でやりたがっていました。
専門的な分野だったこともあり、上司にも相談せず、部下にも詳細を説明せず、一人でやって抱え込んで悩んでいました。
今回の休職を通してカウンセリングを受けたり、リワークプログラムに通いながら、
自分の問題点・課題~
自分が分かっていないこと
分かろうとしていないこと
分かりたくないと思っていたこと
を直視して受け入れていきました。
そうしたら、
自分の弱さを出せるように
人に話せるようになってきました。
復職にあたり隣の部署に異動になったのですが、以前の職場の人達にも話しかけていますし、上司にも細目に相談・質問しています。
自分の専門ではなく新しい業務なので、
【 知らないんだから聞くしかない 】
と開き直りやすかったのも良かったのかもしれません。
前は人と話すのが煩わしかったのですが、少しずつ他人に興味がでてきました。 」
『 確かに最初にカウンセリングにいらっしゃったときは無表情で目線も合わない感じでしたが、Nさん よく笑うようになりましたよね!(^_^)!
とても大きな変化ですね☆ 』
他にも、
・お子さんの成長、変化に気付いて喜べるようになった
・目の前のことに集中して楽しめるようになった
・奥さんの状態が荒れると自分の精神状態も悪くなることを理解し、奥さんに言われる前から家事や子ども達の面倒を見て、子ども達が寝てから自分の時間を楽しむようになった
など
大きく変化されています☆
復職に向けて~ スモールステップでの変化を大事に!
【初回カウンセリングにおける状態】
Nさんは当初 無表情で目線もほとんどカウンセラーと合わない
精神的に焦燥されている様子で奥様に付き添われカウンセリングルームにいらっしゃいました。
大岳カウンセリングでは復職にあたりその方の回復度合いを、
・体力 ・体調 ・気力
の3つの観点で確認しております。
Nさんは今回の休職の時点では全体的に30%くらいまで下がっている状態でした。
「80~90%まで回復したら復職しても大丈夫だと思える。」
と仰ったので、
【体力・体調・気力に関しては80~90%の回復】
を目指して一緒に取り組んでいくことにしました☆
【カウンセリング5回目における状態】
「 ウオーキングするようにしています。
憂鬱になることは減り、
憂欝になることがあってもあまり長引かなくなりました。
ただ、子どもと遊んだりしても楽しくはないです。」
セッションのワークで、
「 庭が片付いていないのを何とかしたいが動く気がしない・・・ 」
という思いを掘り下げていき、抱え込んでいた感情や固まっていた思考をゆるめていく中で、
Nさん自身の内側から
「 目の前のできることに取り組む
先ずはいつも座っているコタツの机の上の整理をする 」
という気付きが訪れます。
【カウンセリング6回目における状態】
「 やる気・意欲が少し湧くようになりました。
短期間なら動けます。
ただ、以前楽しかったことをやっても楽しくありません。」
【カウンセリング9回目における状態】
「 体力ー70%、 体調ー80%、気力ー80%まで回復してきました。
ただ、仕事をするとなるとまだ不安があります。」
上司の方との面談で、
『 他の人の協力をもとめず、相談もせず、一人で抱え込んでしまうのを何とかするのがポイント 』
と指摘される。
カウンセリングの中で【深層心理の心の構え】に取り組みながら、並行してリワークプログラムにも通い、ロールプレイや職場を想定したコミュニケーションのトレーニングも始める。
【カウンセリング11回目における状態】
「 リワークプログラムに参加している人達の中で少し話しやすそうな方に、
『 自分 知らない人と話をするのが苦手なんです^^; 』
と自分の弱いところを出すことができました。 」
カウンセリングの中でも笑顔が増える(^^)。
【 スモールステップのプロセス 】
≪Aパターン≫
・カウンセリングの中でカウンセラーに弱い自分をだしていく
↓
・リワークプログラムの中で弱い自分をだしてみる
↓
・会社に復職し弱い自分をだしてみる
≪Bパターン≫
・リワークのロールプレイや実習時において誰かにほめられたときに、「ありがとうございます。」と伝えてみる
↓
・「ありがとう」の後にもう一言、「嬉しいです!」を付け加えてみる
↓
・相手の良いところ、長所を見つけるよう意識する
↓
・相手の良いところ、長所に目がいくようになったらそれを言葉に出して伝えてみる
【カウンセリン13回目における状態】
「 主治医から復職OKの許可が下りました。
今週 産業医と面談がありますが、
『この先どうなんだろうな~」という不安があります。 」
【カウンセリング14回目における状態】
「 産業医から、
『生活リズムが整っているか様子を見たい』
と言われ復職はもう少し後になりました。 」
【カウンセリング16回目における状態】
「 復職が決定しました! 産業医、そして復職判定審査会でもOKがいただけました。
来週から残業無しのフルタイムでの勤務になります。
復職に対して、
うまくいくかなあ
という不安もありますが、自分の変化も感じます。
以前は、どうしていいか分からなくてそのままにしていましたが、
今回は、
『自分から聞きにいかなきゃな』
という心構えがあります。
力を抜いていこうと思っています。 」
「 コミュニケーションに関しても、前は何をしゃべろうか考えてばかりいて相手の話を聞いている余裕が全くなかったのですが、今は話の流れでふっと浮かんできたことをぽっと口から出せれるようになりました(^^)。 」
【カウンセリング17回目における状態】
「 まわりの人達は気を遣っているみたいです。
声をかけていいのか分からないのか話しかけづらそうですね(苦笑)
以前の復職の時もそうでしたが、腫れ物に触るような感じで(^^;
ですから、週1回ある進捗会のミーティングに自分から、
『 私も参加していいですか? 』
と伝えてOKをもらいました。 」
『 おぉ!! スゴイですね!!
以前と比べると段違いの成長じゃないですか! 』
【カウンセリング18回目における状態】
「 周りの人が何をやっているかは分かるようになってきました。
とりあえず、腰を上げて立って聞きに行くようにしています!
聞かないと何も進まないし、考えているとロクなことがないので練習のつもりで^^; 」
【カウンセリング19回目における状態】
「 不安に対して、今までは自分だけでどう対応しなければいけないのか
と考えていました。
今は、不安はあるけど自分だけで対応しようとせず他の人の力も借りて対応しようとしてるから少し楽です。 」
「 あと、新しい仕事で関わる人が少ないのですが、
とりあえず誰かとしゃべりたい
と思っています。
以前は、声をかけられたら緊張して返答に困って、
『 声かけないでくれ 』
『 来ないでくれ 』
『 うまく話せない 』
と思っていましたが、
今は、声をかけられると嬉しいです。 」
【カウンセリング20回目における状態】
「 以前は焦って自分でやってしまっていました・・・
他の人に協力をもとめず一人でやってしまう
そのやり方では体がもたない
いかに他の人と協力してやっていくか
他の人の意見を聞いてみよ~
と思っています。
特に前の部署の後輩に対しては自分から声をかけやすくなってきました。 」
【カウンセリング22回目における状態】
「 以前は、人と関わりたくない
話しかけないでオーラが出ていたと思います。
話しかける言葉が思いつかないし、話しかけられても変な空気になってギクシャクして面倒臭いと思っていました。
今は、人と関わるのにこなれてきました。
自分のことだけを考えるのではなく、
後輩の教育や周りの人のために動くことも考えれるようになってきました。
健康推進部が始める【昼休みウオーキング】に新しい課長や後輩を誘ってみました♪ 」
笑顔でお話されるNさんの関り方の大きな変化にカウンセラーの方が驚いています☆
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